天国の殺戮者と地獄の救済者.

 テクノライズというサイバー・ディストピアには2人の巨悪を中心に話が動く.

 それが吉井一穂と伽ノだ.

 

 舞台は、絶望と暴力に支配され荒廃した都市・流9洲(ルクス)。老朽化したこの街は現在、外界からのネットワークから外されて孤立しており、街から他の都市へ行くことは困難だが、逆に行き場を失くした者達が流れ着く、吹き溜まりの場所と化していた。 生きるために賭けボクシングで生計を立てる少年・櫟士、近い未来を見ることの出来る少女・蘭、街の声を聞くことの出来るオルガノの長・大西京呉、そして未来の義肢である「テクノライズ」の技術に魅せられクラースから降りてきた科学者・ドク。 ある日、この地に外界から吉井一穂という男が現れる。ある野望を遂行すべく降り立ったこの男の来訪により、流9洲に様々な事件が発生し、やがて街全体を巻き込む事態へと発展していく。

 吉井 一穂(よしい かずほ)
声 – 井之上隆志
市庁舎所員。28歳。流9洲とは別の場所の出身であり、流9洲を戦場にしようと企む。誰に対しても馴れ馴れしい話し方をする。胸部に機械のような装具を付けているが、本人によればテクノライズではない。銃器の扱いに慣れており、電話線を組み替えて回線を乗っ取るなど工学的知識がある他、戦闘にも長けている。

 伽丿(かの)
声 – 田中嘉治郎
クラースの首領の息子(孫)。青い髪を持ち、両足にテクノライズをしている。後にテクノライズ化兵士群「SHAPES」を使って蜂起する。

 前半は地下の国・ルクスを舞台にユートピアと謳われる地上からやってきた謎のサラリーマン・吉井一穂1人の暗躍と闘う話だ.

 このストーリが面白いのはSFなのに身も蓋もなく貧乏人がテクノライズ手術を受けたりしたり管理社会としてテクノロジーが使われていてむしろ街の治安は最悪すぎるし遺伝子の悪い人間たちはそもそも地下で暮らすようにされていることだ.

 ちなみに地下にも階層があり,君主や天皇みたいなヤツラもいてエリートは基本的に在野の反テクノライズ集団や古来宗教、ヤクザ集団のオルガノなどだ.

 ある日地上からやってきた吉井一穂はみんなが殺し合いをするように誘導し,最後は自らも殺し合いに参加して自殺してしまう.

 そして,主人公たちは地上のユートピアとは何か?という謎を残したまま前半の話は終わるのだ.

 

 後半は伽ノという肉体欠損や近親相姦のやりすぎで身体が悪い地下の王族な孫がラスボスとして登場する.

 ちなみに肉体欠損を機械で補うテクノロジー『テクノライズ』はドク博士という女性の発明であり,伽ノはその先端技術を悪用し,脳と心臓,内蔵以外を全て機械にしてしまうシェイプスという最悪のテクノロジーを作り軍事利用し地上の天国,テクノロジーが進みすぎた地上を侵略しようと企む話だ.

 しかし,そこはあのテクノライズより進んだ技術を持ち1人で乱戦を挑んだ吉井一穂が絶望したセカイだ,

 主人公たちがその地上へ足を踏み入れたときに,そこはあまりにのどかすぎる田園風景だった.

 人間らしい人間はいず,人間の映像を流すだけだったのだ.

 そして,鷺沼さんという美少女アバターを着る老人が場を仕切るという奇妙な演出もある.

 ちなみに吉井一穂の友達も元市役員で市役員の同僚である男に自分が最後吉井を殺したことを話したらあっそうと流されてしまった.

 鷺沼は美少女アバターを捨てて老人として最後に登場するが彼は彼で伽ノとは違う感じに肉体欠損を患っていた.老人が無理しているような.伽ノのは身体のあきらかな不全だ.

 面白いことに伽ノは実は地上がもう戦争する必要すらないぐらいにオワコンであることは分かっていた.

 そして,伽ノは実は進化なんだと打ち明ける.

 実はシェイプス,身体のほとんどを機械にするのは動物である人間が機械化されて馴染めば馴染むほど光合成のようなものでエネルギーを接種したりして植物のような状態になる本当のユートピアだったということが判明するのだ.

 しかし,それは肉体を捨てて,イメージのセカイに逃げることであり,キレた主人公は彼を殺す.

 そして,最後は主人公も死ぬ.

 

 ちなみに,なぜ吉井一穂がわざわざ天国から降りてきて地獄でコロシアイを行ったかと言えば,退屈だったからだ.

 このテクノライズというアニメは表現は過激であれ,テクノロジーによる負け犬は自らを救済者と歌い,テクノロジーによる勝ち犬もまた自らを破壊者と評し全てを粉々にしようと企むのだ.

 

 前作が女性と平成昭和あたりに似た都心のセカイを舞台にしたlainだ.

 今作は極めて男性的に描かれたセカイを描いている.

 そして,その後に神霊狩という福岡の田舎を舞台にした心霊と,福岡にある外資系科学産業,脳科学,カウセリングをテーマに絡んだ土着の話になる.

 今問われているのはシンギュラリティでもメタバースでもない根源的なテクノロジーに対する理解だろう.

 それは神道までに遡るかもしれない.

 

コメントを残す

WordPress.com で次のようなサイトをデザイン
始めてみよう